県岐阜商vs横浜高校の激戦
2025年8月19日、テレビの前で思わず「うおおお」と叫んでしまいました。そして、鳥肌が立ちました。
見ていたテレビは大好きな高校野球の甲子園の試合。昨日はベスト8が出そろい、準々決勝の4試合。強豪ひしめく8校が激しく戦っていました。そんななかの、岐阜県の古豪 県立岐阜商業高校 vs 神奈川県の名門私立 横浜高等学校。
結果は延長11回。8対7で県岐阜商(地元では”県岐商”(けんぎしょー)と呼ぶらしいです)のサヨナラ勝ち。異様な熱気と歓声に包まれた甲子園の試合をリアルタイムで見ていました。

(出典元:バーチャルスポーツ高校野球)
この歴史にも残る名勝負は、幾度となく逆転につぐ逆転。また満塁や試合終了のピンチを幾度となく乗り越えた、まさに「全身全霊を込めた闘い」と呼ぶにふさわしい試合でした。
最後には整列のときに両者が自然と熱く抱き合い称えあう・・ そんな青春ど真ん中な姿と、清々しいスポーツマンシップに私ももらい泣きしてしまいました。
横浜高校と言えば、あの松坂大輔氏などを輩出する名門高校。春のセンバツ大会でも優勝しています。そんな強豪校を倒したのは、岐阜県の”公立高校”。
野球に詳しくない方からすればビックリの内容だと思います。
今回はそんな県岐阜商の強さを調査してみます。
ベンチ入りメンバーの出身は?越境入学?
- 強豪校って他県からの越境入学が多いんでしょ?
- どうせ岐阜じゃない子が多いんじゃないの?
- 関東の強豪って、ほとんど関西出身のチームもあるって聞いたけど。。
こんな声が多くあるなか、このチームは他の他府県から強い子をスカウトしているのか?調査してみました。
2025年夏の甲子園登録メンバーは20人。その中でなんと、県岐阜商のメンバーの出身者は、、
地元である岐阜県の出身の方が圧倒的多数(20人中19人)でした。驚愕ですね。。
1名だけ愛知の出身ですが、これは予想していなかった人も多いのでないのでしょうか。
それでは、公立高校で、またほとんどが岐阜県の出身のメンバーのチームがなぜベスト4の旋風の真っただ中にいるのでしょうか?
強さの秘密をさらに深堀で調査してみました。
古豪 県岐阜商 野球部の強さの秘密5選
具体的なのはこの5項目です。
- 鍛治舎監督の意識改革
- 藤井監督の継承
- ”考える野球”の徹底
- 圧倒的なブランド「”県岐商”けんぎしょー」
- 学校の域を超えた応援の一体感
ではそれぞれ、項目ごとに見ていきましょう。
鍛治舎監督の意識改革
2017年に鍛治舎巧(かじしゃ たくみ)監督が就任。この方は県岐阜商のOBで、元パナソニック(旧松下電器)の監督もされていた方です。この方の就任で大きな転換期を迎えました。
「公立だから勝てない」を払拭
就任した2018年4月、春季大会の準決勝で中京学院大中京に4対1で敗退しました。その試合後、選手は笑っていました。監督が聞くと「あの中京相手に1対4は善戦です。良い試合でした」と答えたので「それだから負けるんだ!それを負け犬根性と言うんだ!」と叱り、帰って夜まで練習した。とうエピソードがあります。
また野球の勝ち負けだけにこだわらず、野球を通じて、社会にでてから通用する人間を育てたい。という信念のもと、礼儀、態度にも厳しく指導されてきたとのことで、目先の勝利だけにとらわれない教育をされています。
藤井監督の継承
2024年の秋から、藤井潤(ふじい じゅん)監督が就任。藤井監督の指導により、数値目標や”見える化”を推し進めてきた。ベンチ内での合言葉は「何があっても想定内」。大舞台や強敵相手でも動じないメンタル設計を進めてきた。
いわば鍛治舎監督のイズムを藤井監督が継承し、強化されてきた県岐阜商。2人の指導者により、考える野球が徹底されていった。
「考える野球」の徹底
指導者に言われたことだけをやるのではなく、状況を自分で見極めてプレーする。ことを徹底している。このピッチャーはこういう特徴だから、短く持つ。ノーステップで打つ。など、相手と場面で自ら考えて打撃様式を切替。
また、チーム内には”データ班”を設け、相手の投球傾向や打撃の特徴を数値化している。この情報を単に見ているのではなく、次はこうなるのでは?と予測、仮説、検証することで自ら考え、トライ&エラーを行う姿勢が根付いていきました。
圧倒的なブランド「”県岐商”けんぎしょー」
県岐阜商は1925年創部。実は、1933年、1935年、1936年、1940年と戦前に春夏併せて全国優勝4度(春3回、夏1回)を経験している、まさに古豪と呼ばれるチームです。戦後も決勝や上位進出するものの、時代は変わります。
そして2017年、県大会でコールド負けをしてしまいます。。この時のどん底を経験し、そこから再び立ち上がっていきます。
つまり、最近から高校野球を見だした人には珍しいかもしれませんが、地元や野球経験者からすると、公立高校ながら、野球の超名門校であり、県岐阜商で野球をすることがちびっこたちの憧れであることは間違いないのです。
創部からちょうど100年を迎えた伝統と歴史。この看板は絶大であり、岐阜県内はもちろん、周辺の地域の人からも人が集まってくるすごい高校なのです!
学校の域を超えた地域の一体感
最後に、地元の支え、応援を無しに語ることはできません。
まず、意外にも県岐阜商には寮がありません。ただ下宿先やアパートは生徒指導部が窓口になり、遠方からの生徒をサポートしてくれるそうなのです。仲間との共同生活をしている生徒もいるようで、こうして仲間同士の絆を形成していきます。
そして、近隣のサポート。下宿生の食事を近くの喫茶店のマスター(県岐阜商のOBだそうです)が作っているというのです。食事を通じたサポート以上に、声掛けも怠らないという。
そしてそんな地域に支えられた野球部少年は、「地域のため、町のため」と想いを受け取り、一生懸命プレーをするのです。
そんな県岐阜商だからこそ、私たちのように応援したくなる人が集まって、甲子園での大声援につながるのかもしれませんね。
まとめ
県岐阜商の野球部。8月19日の大熱戦を終え、注目されている存在です。
彼らのベスト4入りは偶然でもなんでもなく、ひたむきに頑張ってきた強さがあるからです。
その強さは、決して一部の野球留学生によって支えられているわけではなく、地元でプレーする猛者たちが集まり、監督のメンタル改革、学校のブランド力により強豪校にも負けないプライドを持ち、自ら考える野球をすることでトライ&エラーを繰り返し、地元の強力な応援を受け、成長していくところにあります。
今回は県岐阜商の強さ5選に迫ってみました。
明日からの準決勝でも、球場を感動と大声援の渦に巻き込んでくれること間違いなし!彼らの今後の活躍にも目が離せません!
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